2013年1月9日水曜日

いまさらながら断捨離のお話を


時の移ろいは早いもので,一時期かなりブームになっていた断捨離*も,世間では聞かれなくなったように思います.(わたしがテレビを見ていないだけで,実はまだはやっているという可能性もありますが.)

そのブームの火付け役とも言うべきこの本,「人生がときめく片付けの魔法」.わたしも電子書籍でこっそり購入しました.何となくこれを一人暮らしの男の本棚に並べておくのは抵抗があり(笑)また,電子書籍版は,著者が片付けの方法を動画で実践してくれるという特典もあったので(言い訳).

内容としては,著者のこんまりさんの片付けに対する異常な執着ぶりと,ちょっとぶっ飛んでいる感が非常におもしろいです.「片づけのリバウンドに悩み続けた末に失神」とか,「ものをたたむときには手からハンドパワーが出ている」など.実際の片付けの内容以外のところでかなり笑わせてもらいました.最近2も出たようなので,片付けとは関係なく買ってみようかなと(ただし電子書籍が出ていれば).

で,書いてあることはというと,
○リバウンドしない片付けをする
○そのためにまずものを捨てる
です.(実際は他にも収納方法のこつなどがいろいろ書いてあります.)

もともと,整理整頓が非常に苦手.小学校の成績表は,「整理整頓」のところだけ毎回「がんばりましょう」だったし,自宅の机の上も何度親に全て捨てられたことか.根本的には面倒くさがりというのがあります.片付け始めると一気に片付けるのですが,それをやり始めるまでが遅い.だから自分の周りは一瞬だけきれいで,あとは汚かったわけで.

では,面倒くさがりの自分が片付けられるようにするにはどうすればよいか.それは,片付けがいらないようにすること.逆説的ですが,これが一番正しいのかなと.世間に収納本はあまたあって,何冊も読んだことはあるのですが,どれもしっくりこない.収納したものを出してしまえば,また片付けなければならないわけで.それは面倒.そんなとき,「リバウンドしない」という言葉がしっくりきたわけです.

早速実践.男の一人暮らしなんて,大してものがないとたかをくくっていたのですが,いざ片付け始めると捨てられるのか,捨てられないのかの境界線のものが多数.特に大学時代に作ったグッズ系の服や,旅先で買ったよくわからない小物など.これらを捨てるか捨てないかはかなり迷いどころでしたが,こんまり流に言うと「今ときめくか」の基準で考えなさいとのこと.そして「今ときめかないなら,それはすでに役目を終えた」「タンスの隅で眠らせておくくらいなら,供養してあげましょう」と.この考えにははっとしました.ときめくかどうかは別として,役目が終わったと考える.確かに大学時代のグッズだって,そのときのメンツでの一体感はあったけれども,今それがあるかと言ったら特にない.旅先で買った小物も,何となく「自分がお金を出して買ったから」という理由で捨てられないのですが,もう買った瞬間に旅先での満足が得られて,その時点で役割は終わっていたのかも.あるのは郷愁くらいなもので,そんなものにふけってもおなかは膨らまない.そう思ってから,ぼんぼんものを捨てて,最終的に押し入れの上段分くらいはものがなくなりました.めでたしめでたし.

…ではなく,重要なのはその先.ものを捨てて何が見えてくるか.

まず,本当に自分にとって必要なものって何なのかが見えてくる.ものだけではなく,精神的にも.ものを捨てる習慣が身につくと,たとえば仕事であれば,自分にとって無駄な業務が見えてきて,それをなくそうと思ったりするわけです.今までも無駄な業務を改善しようとはしてきていましたが,それがさらに加速した感じ.

また,そもそもものを持たない,という気持ちになります.世の中便利なものが一杯あふれていて,それらを購入すればいろんなことが簡単にできるようになります.でも,その便利は本当に必要なの?と.そして,その便利がなくなったときどうするの?と.

蛇口をひねれば水道から水が出てくるような環境ですが,東日本大震災の時にそれが当たり前ではないとおそらく全国民が気づきました.当たり前のことが当たり前でなくなったとき,本当に必要なものは何か.レンジで簡単に調理ができることと,水が飲めること.最終的にどちらが大事なのか.当然,水をのむことです.食料がなければレンジだってただの箱です.

じゃあ,この当たり前の環境を,当たり前として受け止めるのではなく,感謝して受け取ろうではないか,そんな心境になっています.水道から水が出る.スーパーで年中野菜が買える.スイッチを入れれば暖房がつく.トイレはウォシュレット.その便利を受けるなと言うことではなく,特別なことと受け止めること.そう考えるだけで,日々の生活の中で,自分にとって本当に重要なものは何かということを考える癖がつきます.

ということで,今は結果的になんだか節約魔みたいになってきました.うちの家族の誰に言っても「あんたがそんなに片付けられるわけがない」とは言いますが.まあ事実,きれいさは所詮世間並みかと思います(笑)それより何より心境の変化が大きいです.

ま,つまりこんな思考の流れが断捨離ですよね.断捨離の“捨行”で終わってしまうと,それは単なる片付けで終わってしまう.ただ,最後の“離行”つまりものから離れるところまでいければ,より解脱に近づくのではないでしょうか(別にわたしは仏教に帰依しているわけではないですが).

*断捨離という言葉はやましたひでこさんが商標登録をしているそうです.
 元々はヨガの断行,捨行,離行から来ていると思います.

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