2013年1月6日日曜日

日本の技術力という幻想?コクヨのパクリノートに思う.

コクヨが,中国への進出への足がかりに,自社のパクリノートを作っている会社と事業提携?して,かつパクリノートの生産も続けているという記事.去年の記事ではあるけれども.

中国で販売されているGambol(左)とコクヨの2代目Campus(右)

中国で自社のパクリノートも生産するコクヨ戦略の思わぬ効果
http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/121229/wec12122907010000-n3.htm

中国本土でのブランド認知度の高いGambolを受け入れて,利用するというコクヨの寛大さとしたたかさがすごい.ただ,戦略としては正しいという気がする.

ここで,思ったこと.これで,「日本の技術がまねされた!中国ひどい!」ではない.つまり,自分たちが独自技術と思っていたものが「まねできるもの」だったということ.ものづくりという観点からすると技術的には同レベルに到達していると考えることができる(知的財産権の関係には疎いので,特許という観点からの言及は避けるけれども.)いきなり中国の話に飛ばずに,日本の家電で考える.同じような製品が山ほどあって,見比べて,何が違うのか.はっきり言って素人には分からないレベル.以前,電子レンジを買うときに,某家電メーカーの販売員に「で,結局各社何が違うんですか?」と聞いたら,「実使用上で問題になる性能ではほとんど変わりありません」と.メーカー側がそういうんだから間違いないと思われる.結局製品は,かなり革新的な部分が変わらない限り(たとえばガラケーとスマホの違いのような),最終的にはほとんど相違ないものになっていってしまう.スマホだってすでに,電池の持ちが若干いいとか,スペック的にはそんな程度の違いしかなく,後はマニアが喜ぶような機能がついているだけのような気がする.残りはコスト,ブランド力の勝負になってくる.

日本はブランドの展開力がないのかなと言う気がする.「消費者はあくまで製品をみて買ってくれる.いいものを作れば自然と売れる」ということはあり得ない.結局,製品を作るのも会社という人(注:会社は法人として人として位置づけられています),販売するのも人,買うのも人なので,そこの信頼関係がきっちり成り立たないといけない.マーケティングの肝というのはまさにそこにあるんじゃないかなと思う.同じ目線で信頼関係を築く.高すぎても低すぎてもだめ.今現在,日本の製品がブランド力を持っているのは,以前の日本は世界とそういう関係を築けていたのではないかと.それに陰りが見え始めてから「日本の技術力はトップだ」という思いにかられ,どんどん技術先鋭という状態に陥ってしまったのではないだろうか.

中国の技術力と日本のものとが完全に同列だとは思わない.ただ,有意差はないと認めた上で,今までとってこなかったような,このコクヨのようなブランド展開をするのが吉と考える.いつまでも「日本の技術力」の幻想にすがっていてはだめだ.

本当は,「日本の・・・」とか言っている時点ですでにだめだと思っているのだが,それはまた別のお話.

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